フォトエッセイ — PFASと基地 アメリカ空軍提供写真に見る — 東京に潜む有毒な泡消火剤

 By Pat Elder 2023年9月4日

横田基地(在日アメリカ空軍)の消火訓練場は、東京の中心部から西へ40kmにも満たないところにある。グーグル・マップの赤で囲んだところから発がん物質のPFASを含んだ泡消火剤が大量に環境中へ放出されてきた。周辺地域はこの訓練のためにすっかり汚染されている。

人びとは毒の混ざった水を飲み、毒の混ざった魚を食べ、自分たちの血液中からも発がん物質が高濃度で検出されている。その一方で在日米軍は大した問題ではないと思い込ませようと、ミス・インフォメーション作戦を展開中だ。問題は飲料水だけだ、あるいは、環境汚染の原因は泡消火剤に混ざっていた有毒物質だけで今後は使われない、といった具合だ。

泡消火剤が使われていた訓練場を見てみよう。

横田基地の消火訓練場(2023年)

 

横田基地で行われた消火訓練(2018年3月8日) – 写真:アメリカ空軍

 

 

横田基地で訓練火災に立ち向う消防隊員(2016年8月1日) – 写真:アメリカ空軍

世界各国に何百とある米軍施設でこのような消火訓練が50年近く繰り返されている。そこで使われる水性フィルム形成泡消火剤AFFFにはPFASが含まれていた。使われた消火剤はそのまま流出するか、地下にしみ込んでいった。

(PFAS: ペルフルオロアルキル化合物とポリフルオロアルキル化合物の総称)

このおぞましい環境犯罪は人類すべてが被害者だが、ほとんど注目されなかった。

国防総省は2020年に、訓練ではPFASを含む泡消火剤の使用をすでに中止していると発表した。さらに米国議会は国防総省に対して、2023年10月1日をもってPFAS系の泡消火剤は購入停止すること、2024年10月1日以降はいっさい使用しないことを指示した。ここまでは良い方向だが、アメリカ軍はエンジン洗浄やクロムメッキといった用途にこの毒物を使い続ける。

在日米軍施設での有毒物使用や、周囲の環境への放出を制限する規則はない。そのため、在日米軍は何でもできてしまう。毒物は地下水や地表水を汚染し、魚介類に入り、人びとの食卓にのぼる。

グーグル・マップ写真集

航空自衛隊小松基地の消火訓練場

40.7062695, 141.3814782   航空自衛隊三沢基地の消火訓練場

 

26.2819992, 127.7699133  普天間基地(海兵隊航空施設)の消火訓練場

35.296224, 139.6751747  横須賀基地(海軍施設)

横須賀で米軍は何をしてきたのか

米海軍は第三者による独立した汚染物質調査を横須賀の表層土壌、浅地下土壌、地下水、地上水、大気について実施し、公表するべきである。

アメリカ国内は、ほとんどどの海軍施設でもこの種の情報が得られるが、ハワイ州は際立った例外になっている。日本の場合と同じように、国防総省から土壌や大気といった各種の環境PFAS汚染の分析結果が公表されていない。ハワイの人びとは、日本と同じように、不正確や不満足な情報にさらされおり、真実が伝えられていないのだ。 

アメリカ・メリーランド州で判明した海軍基地周辺の汚染

首都ワシントンDCから南へ100kmほどのメリーランド州セントメアリー郡にパタクセント・リバー海軍航空基地がある。ここの消火訓練場では消防隊建物近くの地下水からPFAS系の3物質の合計で 87,847 ppt が検出された。たった3物質だけでなく他のPFAS系物質も検査に含めていたら、もっと高い数値になっていたことだろう。

この航空基地の汚染はひどいレベルだが、他の海軍基地ではもっと高い汚染が見つかっている。例えばアメリカ・カリフォルニア州のチャイナレーク海軍航空隊武器ステーションでは地下水から 8,000,000 ppt ものPFOSとPFOAが検出されている。

在日米軍はこういった情報を秘密にしており、日本の人びとには汚染データが知らされていない。

在日米軍による各種の活動から発生した地下水汚染はPFASに限らないが、その汚染レベルも日本の人びとにはほとんど伝えられていない。

あとの方にパタクセント・リバー基地周辺の地下水から検出されている汚染物質のリストを紹介しよう。近隣住民の一人である私に伝えられているこのような情報は日本の人たちにも伝えられるべきだ。そうでなければ、どんな汚染を相手にしているのかさえわからない。 

旧日本帝国はは東京湾に停泊している米艦ミズーリ号上で降伏文書に調印した。1945年9月2日のことだ。それから78年も過ぎた。在日米軍は、日本の環境を汚染し人びとを危険に晒している責任の一部でも負うべきときではないか。

アセナフテン 200.0 ppb, アセトン 7000.0 ppb, アルミニウム 24,900,000.0 ppb, ヒ素 (発ガン能力として)16,800.0 ppb, バリウムおよび化合物 52,400.0 ppb, ベンゼン 24,000.0 ppb, ベリリウムおよび化合物 3,300.0 ppb, ブチルベンジルフタレート 500.0 ppb, クロロベンゼン 680,000.0 ppb, クロム(総量) 64,500.0 ppb, シス-1,2-ジクロロエチレン 120,000.0 ppb, 銅および化合物 23,000.0 ppb, DDE 70.0 ppb, DDT 60.0 ppb, 1,1-ジクロロエタン 19,000.0 ppb, 1,2-ジクロロエタン (EDC) 1,000.0 ppb, 1,1-ジクロロエチレン 12,000.0 ppb, 1,2-ジクロロエチレン (混合) 12,000.0 ppb, ジエチルフタレート 300.0 ppb, フルオランテン 100.0 ppb, ヘプタクロルエポキシド 70.0 ppb, 鉄 16,000,000.0 ppb, 鉛 10,900.0 ppb, マンガン 970,000.0 ppb, 水銀および化合物 (無機) 980.0 ppb, 塩化メチレン 2,000.0 ppb, ナフタレン 200.0 ppb, ニッケルおよび化合物 30,300.0 ppb, ポリ塩化ビフェニル (PCBs) 480.0 ppb, ピレン 100.0 ppb, 銀および化合物 1,700.0 ppb, テトラクロロエチレン (PCE) 2,000.0 ppb, トルエン 2,000.0 ppb, 1,1,1-トリクロロエタン 35,000.0 ppb, トリクロロエチレン (TCE) 130,000.0 ppb, バナジウム 199,000.0 ppb, 塩化ビニール 99,000.0 ppb, 亜鉛  81,500.0 ppb 亜鉛  81,500.0 ppb, アセトン 7000.0 ppb, アセナフテン 200.0 ppb, アルミニウム 24,900,000.0 ppb, 塩化ビニール 99,000.0 ppb, 塩化メチレン 2,000.0 ppb, 銀および化合物 1,700.0 ppb, クロム(総量) 64,500.0 ppb, クロロベンゼン 680,000.0 ppb, ジエチルフタレート 300.0 ppb, 1,1-ジクロロエタン 19,000.0 ppb, 1,2-ジクロロエタン (EDC) 1,000.0 ppb, 1,1-ジクロロエチレン 12,000.0 ppb, 1,2-ジクロロエチレン (混合) 12,000.0 ppb, シス-1,2-ジクロロエチレン 120,000.0 ppb, 水銀および化合物 (無機) 980.0 ppb, 鉄 16,000,000.0 ppb, DDE 70.0 ppb, DDT 60.0 ppb, テトラクロロエチレン (PCE) 2,000.0 ppb, 銅および化合物 23,000.0 ppb, 1,1,1-トリクロロエタン 35,000.0 ppb, トリクロロエチレン (TCE) 130,000.0 ppb, トルエン 2,000.0 ppb, ナフタレン 200.0 ppb, 鉛 10,900.0 ppb, ニッケルおよび化合物 30,300.0 ppb, バナジウム 199,000.0 ppb, バリウムおよび化合物 52,400.0 ppb, ヒ素 (発ガン能力として)16,800.0 ppb, ピレン 100.0 ppb, ブチルベンジルフタレート 500.0 ppb, フルオランテン 100.0 ppb, ヘプタクロルエポキシド 70.0 ppb, ベリリウムおよび化合物 3,300.0 ppb, ベンゼン 24,000.0 ppb, ポリ塩化ビフェニル (PCBs) 480.0 ppb, マンガン 970,000.0 ppb

ProPublicaが収集した国防総省データから 

https://projects.propublica.org/bombs/installation/MD3170024536001700#b=37.8866049,-79.4876511,39.723037,-74.9862819c=1&c=shrink

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A critique of Japanese media coverage of PFAS contamination from U.S. Fleet Activities Yokosuka

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